遠距離の彼 と 近距離の同期
私が歩くと、戸惑いながら天がついてくる。

マンションに着き、エントランスに入ると、

「は!? マジで!?」

と天が驚く。

私はエレベーターの奥の階段を登る。

202号室の前に着くと、

「送ってくれてありがとう。」

とにっこり笑って言った。

天は、しばらく呆気にとられた顔をしていたが、

「くくくっ
やっぱ、お前、すげー。」

と笑われた。

「そう?
天も気をつけて帰ってね。」

と声を掛けると、

「くくっ
ああ、そうだな。」

と言って、肩を震わせて笑っている。

「なぁ、『お茶でもどうぞ』みたいなのは、
ないの?」

「ない。」

私がはっきり言うと、

「なんで?」

と不満顔。
< 210 / 284 >

この作品をシェア

pagetop