遠距離の彼 と 近距離の同期
そう、私は新幹線の中で、天に、海翔との結婚が破談になった経緯を説明していた。

「それが結のためだと思ったから、しただけ
だから、気にしないで。
それより、さっき、絆が眠ったところだから、
静かにお願いね。」

と姉は人差し指を口元に当てた。


私たちがリビングに入ると、フラットにしたハイローチェアに寝かされた絆と、それを眺める父がいた。


「お父さん、ただいま。
こちら、小川天さん。
天、父と絆。」

と私は互いを紹介した。

「はじめまして、小川天です。
お目にかかれて嬉しいです。」

天が頭を下げる。

「結の父です。」

父はそれ以上何も言わず、また絆を眺める。

まあ、10ヶ月前からのゴタゴタを思えば、父が愛想よくなれないのも分からないではないけど。
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