遠距離の彼 と 近距離の同期
天は、声を押し殺して、お腹を抱えて笑っている。

「これは、猿をぬいぐるみに見せてた宮本が
凄いのか、ぬいぐるみの皮を剥いだ小川が
凄いのか。」

「太田さんまで!

5年前は、安達班のアイドルだったのに。」

「ぷっ
くくくっ」

「天!! 笑うな!!」

「だって、自分でアイドルって。
あ、ダメ、腹痛い。
くくくっ」

「あ、それは、ほんとだぞ、小川。
ちっちゃくて、ちょこまか動いて、
可愛かったんだから。」

「春山さん!
過去形やめてもらえます?」

「あ、すまん、すまん。
じゃなきゃ、あの宮本が手出すわけないし。」

「あの?」

天が聞いた。

「ああ、小川は知らないよな。
宮本、見た目は王子様キャラだけど、中身は
オタクだから、女に全然興味なくて。
俺の勘では、伊藤が初恋じゃないかと
思ってる。」
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