政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 季節は音を立てるように変わっていく。それに伴い、私の結婚話も各方面で調整が進められているようだった。

 会社を辞めるタイミングはいつになるのだろう。

 すべては伯父次第だから、私が考えたところで無意味だけれど、今任されている仕事だけはきちんとやり遂げたい。

『俺と、最後の恋愛をしよう』

 ふいに鷹野社長の顔が思い浮かんで、きゅっと胸が締まる。

 こんな状況で恋愛なんてできるわけがないと突っぱねたのに、彼の瞳に見つめられると気持ちが揺らぎそうになる。

 だから会いたくない。

 でもやっぱり会いたいと思ってしまう自分もいて、私はため息を落とした。

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