政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 大きな体に覆いかぶさられて、息ができないほど胸が高鳴る。社長のわずかに緩んだネクタイが、私の胸元に垂れ落ちる。

「ほら、精いっぱい、あらがってみようか?」

 急に色気を漂わせて、社長はうっすらと笑った。

 全身がゆだったみたいに熱くなった。澄んだ瞳は麻酔針のように私に突き刺さって、思考を麻痺させようとする。

 だめ、ほだされてはいけない。

 押しのけようと伸ばした手は、いとも簡単にとらえられ、身動きが取れなくなった。

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