政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています


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 十月に入ったとたん、降ったり止んだりとはっきりしなかった空が急激に晴れわたった。

 ただよう金木犀の香りが、はっきりと秋を感じさせる。ただし、その匂いもさすがにここまでは届かない。

「安西さん、広岡市の現状分析です。こちらに置いていいですか」

 積み重なったファイルの一番上に書類を置こうとすると、安西吾郎先輩は細かい文字が並ぶパソコン画面から顔を上げた。元ラガーマンらしくサイドを刈り上げてツンツン立たせた髪は男らしいけれど、その表情に余裕はない。

「桜井さんありがとう。あ、人口分布と世帯構成までまとめてくれたのか。助かるよ」

 書類をぱらぱらめくる彼に「いえ」と答え、私は斜め前の自分のデスクに戻った。

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