政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています

 フロアを囲むように張り巡らされた窓からは、地上二十階の景色がのぞめる。青空を背景に、遠くのビル群が角ばった輪郭を結んでいた。

 私は青く澄んだ空から目を逸らした。晴れた空は好きじゃない。どこまでも果てのない青空は、自由を連想させる。

「ねえ、桜井ちゃん聞いてよー! 昨日の合コン最悪だったのよ」

 声をかけてきたのは、安西先輩のとなり、私の正面の席の中越みどり先輩だ。モニター脇からひょこっと顔を出し、怒涛のごとく喋り立てる。

「IT系の社長が来るっていうから気合入れて行ったのに、なんと全員既婚者! 集めたやつ誰よって感じじゃない? 桜井ちゃん行かなくて正解だったよ。ていうかあなた、誘っても来ないわよね。なんでなの? 彼氏いないのよね」

 みどり先輩の凄いところは、口を動かしながらでも高速ブラインドタッチができるところだ。

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