政略結婚!?箱入り令嬢は俺様社長に愛でられています


 どうすればプライベートな会話をしながら並行して仕事ができるのか教えて欲しい。きっと頭の回転が素晴らしく早い人なのだろう。

「いえ、私はそういうのは」

 苦笑しながら答えると、彼女はさらに身を乗り出した。もちろん指先ではキーボードを叩いている。

「合コンが苦手なら、今度私がいい男紹介してあげるわよ。桜井ちゃん綺麗なのにいつまでもフリーなんてもったいないわ」

 仕事も遊びも全力でこなす尊敬すべき先輩の困ったところは、この仲人気質だ。私は曖昧に笑いながら時計を見やった。

 午前八時十分。始業時刻までまだ時間があるのに、ほとんどの社員が仕事をはじめている。

 こうやってみんな必死に働いているけれど、ここのところ会社の業績は右肩下がりだ。三期連続の業績不振は、前社長が責任をとって退任するという事態にまで及んでいた。

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