【中完】彼女なんて辞めてやる。
ゆるゆると支度をして、いい感じの時間になったので靴を履いて家から出る。

てけてけと歩いていれば、ピコン、とメール音がしたので開いてみる。

『うん、頑張るよ』

頑張れ、と吹き出しのついたうさぎが私の画面にちょこんと映っていた。

日向は、どんな気持ちでこのスタンプをダウンロードしたのだろうか……。

ぼんやり、考えれば。

駅に向かう時の最後の信号が青になったため渡る。

一方的にした約束の待ち合わせ場所に着く。

9:50。

人影は、なかった。


ぼーっと、自分の腕時計を眺める。



私、待つの嫌いなんだよね。

それに、樹は、待ち合わせにはいつも10分前くらいには来てくれていた。

あと、最低でも1時間半は待とうと思いそこら辺の自販機でスポーツ飲料を押す。

季節は、夏に近ずいているから自然と汗が出てくる。

ハンカチで汗を拭きながら、さっき買ったスポーツ飲料を仰ぐ。
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