おはようからおやすみを笑顔で。

その後、予定より少し早めの時間に姉と一緒にレストランに入り、案内された予約席で斉野くんを待つ。

最近出来たばかりのイタリアンレストランは、店内の装飾もイタリアンモチーフのかわいい小物などがたくさん置いてあり、女性に人気とのこと。
お値段はリーズナブルなカジュアルレストランなので学生たちにも人気のようで、今日もそれなりに混んでいる。だけど騒がしい訳ではないから、三人でゆっくりと会話は出来そう。
それに、あまりに改まった高級レストランとかより、このくらい砕けた雰囲気のお店の方が、緊張も半減されてうっかり変なことを言う可能性がなさそう……多分。


そつこう考えていると、十二時十分前に斉野くんが店に現れた。

店員に案内されてこちらの席にやって来た彼は席に着く前に、それは綺麗な角度で姉に「こんにちは。お待たせいたしました」とお辞儀をする。


「斉野くーん! こんにちはー! 昨日はどうもねー! あっ、さぁさぁ、とりあえず座って座って!」

テンション高めで斉野くんに挨拶する姉のノリがなんだかちょっぴり恥ずかしい。
しかし斉野くんは特に気にする様子もなく、四人掛けテーブルの私の正面の席に座った。


昨日は仕事帰りでグレーのスーツ姿だった彼は、今日は当然だけど私服姿。
黒のテーラードジャケットに、デニムパンツを合わせた彼。決してキメすぎていないのに、大人っぽくて落ち着いた雰囲気がある。
……やっぱり、こうして改めて見ると本当にカッコいいなぁ。
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