おはようからおやすみを笑顔で。
まずはメニューを注文した後、姉がさっそく本題に入る。


「二人はいつから付き合ってんの? ていうか、何がきっかけで付き合いだしたの?」


姉は私と違い、昔から何事もど直球だ。きっと頭の中で選択肢を並べるなんてことはせず、思いついたままに話している。まあ、それでいて私の数千倍しっかり者なのだけれど。


ていうか、ここでボロを出さないようにしなければ。
昨夜、姉がお風呂に入っている間や寝静まってから、斉野くんとメッセージアプリのやり取りで打ち合わせをした。
付き合い始めた時期、きっかけ、デートの頻度など、想定される質問の答えはあらかじめ二人で話し合い済みだ。

予想していなかった質問が飛んできた場合、私が慌てて答えるとうっかり変なことを言い出しそうだからということで、その際は斉野くんが答えてくれることになっている。


「えっと、付き合い出したのは二年前くらいかな。小学校の頃の同窓会があって、そこで再会したのがきっかけで……」

「へーぇ。でも沙耶、小学校の頃は随分と斉野くんのこと怖がってたじゃん。なにがきっかけで恋愛対象になったの?」

「えっ」

まさかこんなにもグイグイこられるとは、早くも想定外だ。
だけどこの質問を斉野くんに答えさせるのは不自然だ。私が答えなきゃーーでも、なんて……。


「僕が、何度も何度もアタックしたんです」


斉野くんが、落ち着いた声でそう答える。
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