おはようからおやすみを笑顔で。
斉野は昔からそういう性格だった。

中学でも高校でも成績はトップだったが〝トップになるために〟勉強していた訳ではなかった。

勿論、勉強には日々打ち込んでいたが、試験や模試の順位にこだわったことはなく、目の前にある課題や問題に一つ一つ真面目に向き合っていただけだった。


家族や教師からは〝もっと熱意を持てば更に成績が伸びるのでは〟と言われることもしばしばあったが、こればっかりは斉野の生まれ持った性格で、彼はなにに対しても熱くなることが出来なかった。
勉強も柔道も、彼にとっては〝好きなもの〟だ。しかし〝好きだから全力で取り組む〟と言うよりは〝好きだから楽しみながらやる〟というスタンスだった。

そのため、周囲から〝あいつは努力していない〟と誤解されて疎まれることもあったが、本人はこういった悪意もやはり気にすることはなかった。


そんな斉野が唯一熱くなれるのが、沙耶という存在だった。
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