神様には成れない。
彼女が力説していたように、オムライスは美味しかった。
彼とも、以前のように他愛のない話をできていたように思う。
だけど気持ちは翳ったままで、そのせいで先まで浮き足立っていた自分が浮き彫りになる。
莉子ちゃんと話をしようにも、バイト中で声を掛けるタイミングがなく、彼女もまた最初の会話以降仕事に従事していたのだ。
結果、何かを弁明する事もなく店を出ていた。
もとより、何を弁明などする事があったのだろうか。
歩いてきた道を引きかえすように帰路に着く。
「淵くん、ありがとね」
コツコツと鳴る踵の音に声を重ねながら、彼の背に声を掛ける。
「ううん。どういたしまして」
少しだけ、彼の歩くスピードが緩くなる。
行きと同じような光景なのに、今度は胸が痛いような気がするのは何故なのだろう。
ギュッと胸元の服を握りしめて唇を噛みしめた。
「そう言えば、さっきの子は友達?」
「うん、そうだよ。大学で仲良くなった子なの」
他愛のない話の中で成されなかった彼女についての話が振られる。