神様には成れない。
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思わず公園の方に向かって歩いていた。別の道からモールの方にいけないかと呑気に考えていたのだが、後ろから問いかけられる。
「……ねぇ、何で怒んないの?」
先の事が尾を引いているかのように、女の子にかけていた声色とは裏腹の冷たいものだった。
怒っているのは彼のようだ。
足を止めて振り返り、首を横に振る。
「子供のした事だから怒る必要ないよ。それにあの子、ちゃんとお母さんに言えて偉いもん。私なんか小っちゃい頃、言わない事を怒られてたから大違い」
努めておどける様にして言うも、彼は納得の表情を見せる事はない。
彼が怒っているのは勿論女の子に対してではないのだ。
「俺が口出す事じゃないけど、“子供がした事”を免罪符にするのは気に入らないじゃん」
「――……そうだね」
「だったら、一言くらい……」
私だって、同じ事を思わなかった訳ではない。
それでも自分の為に怒るだなんて烏滸がましい。
それでも私の為に怒ってくれるのが少し嬉しい。
「――ふふっ。私より淵くんの方が怒ってるね」
「は?」
「腹が立たない訳じゃないけど、それより楽しい事をしてた方がいいじゃない?ほら、せっかくのデートなんだし」
理解しがたいと言いたげな表情を浮かべる。
きっと私が言っているのは綺麗事で、私によって不愉快な想いを抱かせているかもしれない。
「何だそれ……馬鹿じゃん」
「……そうだね」
ああ、やはり呆れられてしまうだろうか。
俯きかけて、それでも私の顔を上げさせたのは彼だ。
「……ん、分かった。瀬戸さんがそれでいいなら俺もいいよ」
私の意見を尊重するかのように先までの表情を消して微笑む。
この人は何処までも優しい。いや、私よりも更に甘い人なのかもしれない。
それでも、その甘さにホッとしたのも事実だった。
「あ!それよりスカート!」