神様には成れない。
何となく正面を向いて空を見上げる。
暗い夜空に明るく浮かぶ星がいつもより綺麗だなあなんて思いながら、ついさっきの淵くんを思い出していた。
とんでもない告白をしてきた彼の瞳もキラキラ輝いていた事が何故だかずっと前のことのように感じる。
実際は数十分くらい前の出来事なのに。
「それで?俺は瀬戸さんと恋をするの?どうやって?」
「どうやってって……」
淵くんの感情の抱けなさを考えるとそう言う質問をされてしまうのも、仕方ないのだが。
「私だってどうやって淵くんと恋するのか分からないよ」
「だよねぇ」
しみじみとした返答をされる。
恋愛経験などないが故に大した事も言えなく、情けない気持ちが湧き上がる。が、事実ではあるので何も言い返せはしない。
それでも
「友達としてでもこれからも一緒の時間を過ごして向き合っていれば、分かることなんじゃないのかな」
そう、私は信じて彼と向き合いたい。
「ふぅん。まぁ、それもそうだね。それで俺がちゃんと瀬戸さんに恋愛感情を持てたなら瀬戸さんにも嫌な思いさせずに済むし、俺の願いも叶うしね」
うんうん。と軽い調子で納得し、また軽い調子で此方を向く。
その瞳はまたキラキラと輝き何かに期待を馳せているようだった。