神様には成れない。
携帯は家に忘れたけれど、帰省する荷物の中に充電器を入れていた事を思い出して、リュックを探る。
だが、入れていたであろう場所にもなかった。
「う~~ん……」
実家でリュックから服を取り出す際に落としてしまったのだろうか。
荷解きが終わったリュックを全部ひっくり返しても何も落ちてくる事はなかった。
「仕方ない」
とにかく充電できなければどうしようもないので、充電器を買いに行くことにする。
簡単に身支度を整えて、財布だけを持ってサンダルを足に引っ掛ける。
勢い任せに部屋のドアを押す。
のだが
「え?重……」
いつも以上にその扉は重くて、体重を掛ければ漸く動くほどだった。
何かが引っかかっているのかと、空いた隙間に体をすべり込ませて外を覗きこむ。
「っきゃあ?!」
そこには人が座っていて、思わず声を上げてしまった。
扉が開いたのと、私が声を上げた事によりその人物は此方に顔を上げる。
「せんか……?せんかぁ……!」
「京ちゃん!?」
そこに居たのは情けなさそうに顔を歪めた京ちゃんだった。