モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。

気づいたら、2人の元に駆け寄っていた。

「これ、タオル。
もらってきたから」

「え……」

「霧雨……?」


と、驚いたように目を見開く2人。


「え、えっ、あ、あの……」

「いつまでも拭かないと、ここを利用してる人の迷惑になっちゃうでしょ?それに……見てるだけの人もいるみたいだし?」

いつまで経っても蒼井を庇って動かない女子たちに目を向ければ、バツが悪そうに俯いた。

そんな顔するくらいなら、最初からどうにかすればいいのに。


「あ、ありがとうございますっ……」

「いや。人として、当然のことをしたまでだから気にしないで」


涙目になって、お礼を言ってくるその男の子。

かわいそうに……

あんなにケバい女子たちに囲まれて、ヒソヒソ言われたら、誰だってつらいよね。


ねぇ、歩優?

女の子って、イケメンの前では常に可愛くいたいっていってたけど、もう1個あったよ。


人に合わせて、自分から行動しようとしないこと。

少なくとも、ここにいる女子たちはね。

< 14 / 318 >

この作品をシェア

pagetop