モテ男子が恋愛したくない私に本気をだした結果。
気づいたら、2人の元に駆け寄っていた。
「これ、タオル。
もらってきたから」
「え……」
「霧雨……?」
と、驚いたように目を見開く2人。
「え、えっ、あ、あの……」
「いつまでも拭かないと、ここを利用してる人の迷惑になっちゃうでしょ?それに……見てるだけの人もいるみたいだし?」
いつまで経っても蒼井を庇って動かない女子たちに目を向ければ、バツが悪そうに俯いた。
そんな顔するくらいなら、最初からどうにかすればいいのに。
「あ、ありがとうございますっ……」
「いや。人として、当然のことをしたまでだから気にしないで」
涙目になって、お礼を言ってくるその男の子。
かわいそうに……
あんなにケバい女子たちに囲まれて、ヒソヒソ言われたら、誰だってつらいよね。
ねぇ、歩優?
女の子って、イケメンの前では常に可愛くいたいっていってたけど、もう1個あったよ。
人に合わせて、自分から行動しようとしないこと。
少なくとも、ここにいる女子たちはね。