Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~

 「いやっ!助けて!!」

 叫び声と共に目が覚めた。
 心臓がバクバクと波打って、寝汗を掻いたのか体が冷えている。

 「ゆめ………」

 半身を起こして、深く息を吐きだす。
 千紗子は膝を抱えて、ギュッと眉間に力を込めて目を閉じた。

 (夢の中の女の人…多分あのときの……)

 それはあの夜、裕也といたサユリという女だった。
 彼女に言われた言葉が、千紗子の胸に棘のように刺さったまま抜けないことに、千紗子は早くから気付いていた。

 『浮気されてることにも気付かない鈍い女』

 それが自分なのだ。

 『抱き心地が悪いから欲情しない』

 だからきっと裕也もあの女に魅かれたのかもしれない。
 彼女は女性として申し分ない程の色気に満ち溢れていたから。

 (雨宮さんだって、私にがっかりしてるかもしれないわ……)

 胸が痛いくらい締め付けられて、千紗子の瞳に涙が浮かぶ。

 ―――どうして胸がひどく痛むのか
 ―――なぜ涙が溢れそうになるのか
 ―――なにをそんなに必死に否定しているのか

 千紗子は、それらの理由を考えてはいけない気がした。

 夢の中の雨宮に、自分がなんと答えようとしていたのかも。

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