Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
 手の震えは次第に体中に広がり、頭から血の気が下がって行く。
 スーッと意識が遠くなりそうになったその時。

 左肩にふわりと温もりを感じた。それとほぼ同時に

 「大丈夫か?」

 低音の声が耳元で聞こえて、遠くなりかけた意識を何とか取り戻した。
 斜め後ろを振り向くと、雨宮が千紗子のことを支えている。

 「雨宮さん…」

 そう口にしたはずなのに、千紗子の口からは息を吐く音しか出ない。
 
 「無理をするな。」

 痛々しいものを見るかのような瞳が見下ろしたその時、

 「だっ、誰だ!!」

 リビングから焦るような怒鳴り声が聞こえた。
 その声に、千紗子の肩がビクリと跳ねあがる。
 そんな千紗子の背中を「大丈夫」と言う代わりに優しく撫でた雨宮は、千紗子が開けかけたドアをゆっくりと開いた。
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