Sweet Healing~真摯な上司の、その唇に癒されて~
雨宮が連れて来た『寄り道』は大型ショッピングモールだった。
ここには食品を扱うスーパーマーケットや、衣料品、住居用品、文具、本屋など様々なテナントが入った複合施設になっている。
「ここ…」
「当座必要なものをここで揃えよう。」
「雨宮さんっ、そんなこと、」
雨宮の意図を察した千紗子は、彼を止めようと口を開いた。
「これ以上雨宮さんにご迷惑をお掛けするわけにはっ、」
「千紗子。」
全てを言い終わる前に、雨宮の人差し指が千紗子の唇に当てられた。
「迷惑なんかじゃない。何度も言っているだろう?むしろこのまま千紗子が一人でどこかに行ってしまう方が、俺は気がかりで、きっと明日から仕事が手に付かないだろう。」
(仕事が手に付かない雨宮さん…?)
そんな雨宮の姿は想像もつかない。
仕事をする雨宮は、いつも真摯で今よりも少しクールだ。
間違っても公私混同する上司ではないことを、千紗子はよく知っている。
そんな雨宮が『仕事が手に付かない』と言うなんて、よっぽどのことなのかも、と千紗子は考え込んでしまう。