人形の君に心をあげる。
そう言い放った俺の言葉は、自分でも分かるほどに冷たかった。
「え...」
老人は言葉を失い、顔からは表情が消えた。
「...家族も......家も...?」
確かめるように、繰り返す。
「...」
俺は何も言わなかった。
ただじっと、老人を見ていた。
「...」
老人は何かを察し、俺から目をそらす。
そして、言葉を必死に探すみたいに目を泳がせる。
...なんだよ、その表情
家があって、家族がいて、幸せなのが当たり前って、聞いてもいないお前らの常識を勝手に押し付けて...
勝手に心をえぐったくせに
今度は、かわいそうにって同情でもすんのかよ
「...何も言うな」
何も、聞きたくない。