略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 前に、陽翔を初めて見かけたとき、一瞬匠海と見間違えたことに納得がいった。

 ふたりの雰囲気は全く違うものだけれど、顔立ちにどことなく近いものがあるのだ。

 理子が言っていた噂の、匠海と美女が歩いていたというのは、美郷と同じように陽翔を見間違えたのかもしれない。


「だから、余計に美郷を渡したくなかった。陽翔とはいつも比べられてたから。
 俺のほうが美郷を想ってるってこと、あいつにも家にも知らしめたかった。【結城】だとか【乙成】の名前なんて関係なく、純粋に美郷を想ってるんだって」


 いつのまにか、美郷の話に変わっていた。

 何度も何度も、真っ直ぐに伝えられる想い。

 いつだって、美郷のことを考えてくれている匠海のどこを疑う余地があるだろうか。


「だから美郷の気持ちが俺にないと、意味がないんだ。結城会長を納得させる理由がなければ、婚約は取り消せない。
 陽翔とじゃなく、俺と結婚しよう、美郷」


 れっきとしたプロポーズだ。

 匠海は本気で、美郷と結婚したいと思ってくれているとわかる。

 姉のためじゃなく、自分と美郷の幸せのために。
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