略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

*


「すみません、匠海さん……」

「なんで美郷が謝ってるんだよ。別に何もしてないだろ」


 陽翔と優花梨の元から出てきて、下降するエレベーターの中。

 繫がれたままの手は、さらにしっかりと結びつきを強くする。


「美郷のせいじゃない。美郷を好きになった俺が全部責任取るし、美郷のことも幸せにする。
 だから、俺とずっと一緒にいて」


 匠海は突然出てきた自分の見合い話を少しも美郷に気にさせない。

 必ず自分が幸せにすると断言してくれるから、その頼もしさを信じていようと思える。

 優しくて頼れる匠海が好きだ。


「匠海さん……」


 顔を落としてきた匠海の口唇が、優しく美郷に重なる。

 すっかり彼の形を覚えている口唇は、しっとりと濡れて熱を持つ。

 匠海は、わずかな隙間から美郷を求めて舌を伸ばしてくる。

 火照りだした身体がたくましい腕に抱き寄せられると、すかさずふたりの重なりが深くなった。

 地下駐車場に到着するまでの間、エレベーターの中で互いの想いを確かめ合う。

 扉が開くと同時に解放されたけれど、不思議と淋しさは感じなかった。



.
< 208 / 241 >

この作品をシェア

pagetop