略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
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 まるでおとぎの国を思わせるような可愛らしい装飾の店。

 シャンデリアっぽい照明の下、西洋アンティーク風のテーブルセットが十数席ひしめくスイーツ専門店は、女性客で満席だ。

 店の外にもまだまだ行列ができるほどの人気店に、美郷は愛結を連れて訪れていた。


「持つべきものは、お姉ちゃんだよねぇ」


 声を上げる愛結の前には、ワッフル生地に包まれたバナナに生クリームとチョコレートがうねうねと絞られ、彩りも鮮やかなチョコスプレーが散りばめられた、甘さに甘さを乗じたハイブリットスイーツが鎮座する。

 真っ白な皿に盛り付けられたまさにフォトジェニックなスイーツに、愛結は嬉々としてスマホを向けていた。


「タダでご馳走してるわけじゃないからね。この間のこと本当に誰にも……」

「わかってるよー。結婚前にほかの男の人と逢引してたなんて知ったときのお父さんの顔、想像するのも怖くて言えるわけないからね。……よし、おっけ」

「ちょっと愛結っ!」


 日曜の午後、2時間以上並んで待った甲斐があったというような満足げな笑みを浮かべて、愛結は飄々と姉の不貞を口走る。

 いやいや、何も不貞は犯していないのだけれど。
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