【短】あなたが優しく笑うから、心が激しく波打った。


 どうして、そんな素直に言えてしまうんだろう。優しいから? 私を見てくれているから?

 きっと、今だけ。学校に行けば他の子にもこうやって話すようになるんだろうな。

 私の中の冷たい部分が急に溢れる。
 私は、特別なんかじゃない……。



「なあ、ありすってどこの高校?」

「教えない」

「えー! こんだけ仲良くなったのに?」

「仲良く? どうかな」

「じゃあ、連絡先教えてよ。これからもいっぱい話したい」

「ダメ」

「ありすってめちゃくちゃガード固いのな」



 至は最初に会った時みたいにケラケラ笑う。何が可笑しいのかわからない。



「ありすみたいな奴だったら、すぐ友達出来るって」

「何よ、それ」

「あ。俺だって友達だからな。だから!」

「連絡先は教えない」

「ケチ」

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