【短】あなたが優しく笑うから、心が激しく波打った。
嘘みたいだ。夢じゃないかと思う。
勇気を出して謝っただけ。
至があんなふうに笑うから、背中を押してくれるから、前向きになることが出来た。
駄目だ、泣きそう。そんなことになったら、情緒不安定すぎる。落ち着け、落ち着け……。
「席に着いたか?」
私は落ち着くため、担任の声に集中することにした。なぜだろう、担任が落ち着いてない。
待って。担任が落ち着いてないとか何事なのよ。
「いいか! 落ち着いて聞けよ」
そう言うあなたこそ落ち着いて。今は冷静になりたいんだから、少しくらい協力してよ。
駄目だ。外の音に集中しよう。
今日は何かおかしい。私、初めて同級生とまともに話をした。
それだけで心臓がばくばくで、連絡先まで交換しようなんて言われて、私の中で何かが弾けてしまいそうだ。