剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?

「星宮の家、どこ?」

「桜通り沿いの大きい郵便局の近くだよ」

「ふぅん」

 いつものようにあんまり興味なさげに香取くんが応える。


 夕暮れの街を二台で走る。
 空の雲も建物も葉桜の並木もみんなすみれ色に染まる中をただ黙って漕ぎ続ける。

 やがて郵便局が見えてきて、その角を曲がる。
 曲がる時に後ろを振り返る。白いクロスバイクで香取くんがついてくる。
 いつもの慣れた道なのに、振り返る度香取くんの姿が見えると何かほっとする。

 無口でクールな彼なのに、傍にいると暖かい気持ちになるのは何故?─


 郵便局の裏手の住宅街に入ると直ぐにうちのマンションが見える。

(うち、近過ぎだよ…)


 マンションの前で自転車を止める。

「うちここなんだ。ありがとう」

「あぁ」


(もっと一緒にいたい…)

 なんでそんなこと思ってしまうのかな?私。


「じゃ」

「あっ!香取くん!」


 引き返そうとする香取くんを咄嗟に呼び止めた。


(うゎ、私ったら…!!)

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