剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
ただの級友男子

 9月。新学期が始まった。

 夏休み、あれ以降香取くんとは逢ってない。
 電話もラインも来なくて連絡も取っていない。


 始業式の日の朝、教室で久しぶりに香取くんに逢った。

 いや、逢った、とは言えないかな?

 香取くんがそこにいるのが見えただけ。
 挨拶もなければ近付くこともないし、眼も合わない。

 私たちは友達でさえなくなってしまった。
 一番はじめの、ただのクラスメイト同士に戻ったんだ─


(きっとこれが普通だったんだよね…)



 香取くんのことはもう気にしない─


 そう決めても、私はどうしても香取くんのことが気になってしまっていた。
 自分でも気付かないうちに彼を眼で追ってしまう。

 朝、登校が遅くなったこと。
 お昼休み、お弁当も食べずにいなくなってしまうこと。
 放課後、早々に教室から出ていくこと─


 諦めなきゃ、忘れなきゃ、と思っても、彼を見つける度に切なくときめく胸の痛みは、どうすることも出来なかった。

        *
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