王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


「……いやいや。完全無欠の王子殿下のまさかの狂気を目の当たりにさせられて、私の方が震えがとまらないわよ……。エミリー、あんたとんでもないのに目ぇ付けられちゃったじゃないの。ここはやっぱり親友の私が、一肌脱ぐべきかしら」

 ん? 向かいのアイリーンが遠い目をして、ブツブツと何事か呟く。

「なんだアイリーン? 何か言ったか?」
「え? あぁ、いえ。こちらのことですから殿下はお構いなく」

 アイリーンは素気無く、ピシャリと言い放つ。

 一見すれば、丁寧な口調と所作で表面上は取り繕っている。しかしその目はまるで、虫けらでも見るように冷ややかだ。



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