王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
そう、あれは昨日の昼飯時のこと――。
「惚れた腫れたに使うエネルギーがあれば、俺はその分趣味に時間をかけたいね」
「それ、分かるわ~」
食堂の隣のテーブルから聞こえてきた会話が、ふと耳に止まった。見れば隣のテーブルでは、数人の若手兵士らが思い思いに昼飯を頬張っていた。
「あれ? けどさ、お前の趣味って観劇だろう? 前は男一人じゃ浮くっつって、適当な女誘ってたんじゃなかったっけか?」
「それが最近、劇場も変わってきたんだ。ひとり観劇ブースってエリアが設けられてて、同じように観劇に集中したい奴らが集まるんだ。そこには間違ったって観劇中に乳繰り出すカップルや、騒ぎ出す親子連れがいない。もう、天国だね」
「へー! それなら俺も一度、非番の日に行ってみっかな。ちなみにその、ひとり観劇ブースのチケットって、普通に劇場窓口で売ってるのか?」
「いいや。アイリーン商会がエリアを買い上げる形で、チケットも専売で売ってるんだ。だからアイリーン商会に行って買うんだ」