王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 俺の話題転換に、まるで寝耳に水だとでもいうような見え見えの態度でコロコロと笑い、扇を仰いでみせる。
 俺は構わずに続けた。

「単身世帯が増加すれば、ひいては出生率の低下を招く。今でこそ影響は顕著でないが、今後ますますこの流れが加速してしまっては国が先細る。父や大臣らは、これ以上影響が出る事を危惧している」

 何故この役目のお鉢が俺に回ってきたかと言えば、俺とアイリーンが一番年の頃が近く、面識が深いからだ。
 ……ちなみに王太子である兄は、諸事情により端から論外だ。

「まぁ、ほほほ。それは買い被りというものですわ。私が細々と営む事業がまさか国家の行く末に影響だなんて、私にそんな影響力などありません」

 アイリーンは白々しく眉間に皺を寄せ、謙虚ぶった仕草で否定をしてみせる。

 今日は父から乞われて出向いた訳だが、父に言われる前から、俺はアイリーンの事業の影響力を肌で感じていた。

 まさに昨日、俺はそれを身をもって実感している。



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