王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 もちろんアイリーンが元々、それだけの気概と行動力を供えていたのは間違いない。
 しかしアイリーンの人生に展望を与えたのは、紛う事無くエミリーだ。

 この時の俺の胸には、エミリーへの尊敬はもちろん、もっと温度の高い狂おしい激情が渦巻いていた。
 その感情は、ともすれば俺の理性の箍を外してしまいそうに、熱く激しく吹きすさぶ。

 けれど同時に、エミリーという存在が、侵し難い奇跡のようにも感じていた。

「……エミリー、稀有な才能を有する其方の正体は、やはり女神であろう?」

 聞く者のない俺の呟きは、宙に溶けた。
 しかし俺の心はもう、決まっていた。女神だろうが只人だろうが関係ない。

 エミリーを、我がものに――!






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