王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
全身汗だくの姿を見るに、もしかすればミハルは王都から一度も休憩を取らずに、駆け通しできたのかもしれない。
「頼む! 頼むよ! お前なら妹を助けられるかもしれない!! だから頼むっ!」
ミハルは必死の形相で私の腕に縋る。
しかし勢い勇んだミハルの物言いは冷静さに欠け、いまひとつ要領をえない。けれど、妹さんが何某かの事態で切迫した状況にある事は知れた。
「ミハル、落ち着いて? 私で力になれる事なら協力する。その為にもまず、落ち着いて状況を教えてくれる?」
私はミハルの目をしっかりと見つめ、力いっぱい握り締めた拳をトントンと撫でた。
ミハルはハッとしたように、掴んでいた私の腕を離した。
「まず、これを飲んで? 王都から駆け通しでしょう? 脱水で貴方が倒れてしまっては、元も子もないから」