王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
私は作り置きの冷茶をカップに注ぎ、ミハルに差し出す。
ミハルは素直にカップを受け取ると、冷茶を一息であおった。
「もう一杯飲む?」
「いや、いい」
注ぎ足そうとした私の手を、ミハルが制した。その目は、来た時の興奮でギラつくそれとは違い、すっかり冷静さを取り戻していた。
「妹さんの状況はどういう具合?」
私もまた、努めて冷静さを保ったままで訊ねる。
本音を言えば、急患で飛び込んで来られる事は、怖い。この世界は、医療水準の発達した日本とは違う。
救えない命も、とても多い。