王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 差し出されたガラス瓶を受け取りながら、私の頭には疑問符が浮かんでいた。
 受け取ったガラス瓶は、どう考えても専用の薬瓶には見えない。しかもその口はあり得ない事に、開きっぱなしだ。

 遮光を考えれば、なるべく茶色の薬瓶を使い、湿気を避けて口はしっかりと密閉するのが、薬の基本だ。
 茶色の密閉出来る薬瓶は金額的に高額にはなるが、薬代に十五万エンネも取っているとなれば、その言い訳は通用しない。

 私はミハルから受け取ったガラス瓶の口に、まず鼻先を寄せる。

「ちょっとだけ、いい?」
「ああ」
 
 そうしてミハルに断って、ひと掬い掬って舌先に乗せた。

「……ミハル、間違いない。これはぼったくりだよ。私が今回用意した麻黄のウン百分の一の価値にも満たない」



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