王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 慌てて取り上げてノートを捲る。そうして数字の羅列を目にした瞬間、衝撃が走り抜けた。
 
「……ミハル、エミリーが危ない! 俺は先に向かう!! 応援の要請を頼む!」
「はい! 狼煙を上げたら、俺もすぐに向かいます!」

 俺はミハルに応援要請を任せると、腰の剣に手を掛けて踏み出した。

「キャァアアッッ!!」

 その次の瞬間、屋敷内から上がる悲鳴。

 エミリーっっ!!

 耳にした瞬間、目の前が恐怖とも怒りともつかない、真っ黒な感情で塗りつぶされた。それは理性も、団長としての責任感も、全てを木っ端みじんに散らす、圧倒的な感情の渦。

 俺は突き動かされるままに、エミリーの元に駆けた。





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