王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 俺は再び、腕の中のエミリーに目線を向けた。

「エミリー、ここにはじきに応援部隊がやって来て、一斉家宅捜索に移る」

 突入前に、ミハルが応援を求める狼煙を上げた。まもなく応援部隊がこぞってやって来る。

 エミリーによって、不正の証拠となる帳簿はこちらの手中にある。なにより、エミリーへの殺人未遂は現行捕縛で、言い逃れ出来ようはずもなかった。

「ここからならば、軍部やミハルの屋敷よりも、俺の屋敷が近い。治療は、俺の屋敷で行おう。屋敷には、ちょうど信頼できる医者がいる。安心してエミリーの処置も任せられる」

 俺の言葉に、エミリーは涙の浮かぶ目を向けると、小さく頷いて同意を示した。

 俺が王宮を出て独立した時から勤めてくれている家令が、ここ数日、体調を崩していた。俺はかつてのよしみで、王宮御殿医のマキロンに、ちょうど往診を頼んでいたのだ。



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