王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 エミリーが怪我を負った事実は悔やまれてならないが、マキロンの処置を受けさせられるこのタイミングには、感謝せずにはいられなかった。

「よしエミリー、すまんが少しだけ我慢してくれ」

 エミリーはいまだ苦し気ではあったが、この段になってやっと呼吸も整い始めていた。エミリーはまた、小さく頷いて俺に身を任せた。

 俺は、傷に触れぬよう背中を支え、もう片腕を膝裏に差し入れると、慎重にエミリーを抱き上げる。

「っ!」

 これ以上ないほど丁寧に事を運んだつもりだったが、それでも抱き上げた瞬間に、エミリーが小さく呻き声を漏らす。



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