王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 しかもその内容は、俺にとって未知との連続。王宮の総力を挙げても決していきつけないだろう、夢のような仕組みや物品、色々な内容が飛び出した。

 普通なら、熱故の荒唐無稽と、誰もが一蹴するだろう。けれど俺には何故か、それらが絵空事とは思えなかった。

 驚きつつも、そうして二晩も過ごせば、エミリーのうわ言にもすっかり慣れた。どうやらエミリーは、熱によって饒舌になるようだった。

 そうしてあれは、エミリーが怪我を負って三日目の晩の事だった。

 エミリーは、酷くうなされていた。切れ切れに漏れ出る苦し気な呻き声が、俺の胸を締め付けた。

 俺は氷枕を交換するべく、エミリーの枕辺に寄った。

「エミリー、氷枕を取り替えよう。きっとこれで、少し楽になるぞ」

 悪夢にうなされて意識を保たないエミリーに、それでも一声かけてから手を出した。

「いやあーーっ!!」

 そうして俺が頸部を支えようとした、まさにその瞬間、エミリーから悲鳴が迸る。同時に俺は、差し出した腕ごと渾身の力で押しやられた。

 俺は咄嗟に、エミリーから手を放した。



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