王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
支えていた首を新しい氷枕の上に丁寧に置いた時、エミリーの口角が僅かに上がる。エミリーはホゥっと小さく息ついて、そのまま静かな眠りについた。
取り替えて回収した氷枕は、すっかり温くなり、カバーは汗でじっとりと濡れていた。
「……次はもう少し、交換のタイミングを早くせねばならんな」
けれどそれから数時間後、意気込んで早めに氷枕を交換すれば、回収した氷枕はまだ冷たさを残していた。
? 不思議に思い、エミリーの額にそっと手をあててみる。
すると、手のひら越しに感じる体温が、低くなっているのに気付く。エミリーの呼吸も、幾分穏やかになっていた。
回復の兆しが見え始めた事に、俺はホッと胸を撫で下ろした。
そのまま俺は、エミリーの脇に置いた椅子に掛け、飽きずにエミリーの寝顔を見つめていた。
エミリーはこの後、夜明けまで健やかな寝息だけを紡いだ。