王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~



***


 解せない……。全く以って、解せない……。

「ほらエミリー? もう少し食べられないか?」

 残念ながら、もう一口だって入りそうにない。私は小さく首を横に振った。

 すると、すり林檎ののった匙と器を手にしたその人が、小さく肩を落とした。

「そうか、食べられんものは仕方ないな。……けれどエミリー、もう少し食べなければ体力が戻らん。もし何か食べたい物や、食べられそうな物があれば言ってくれ」

 ちなみに、残ったすり林檎を脇の卓に置き、心配そうに言い募るのは、フレデリック様その人だ。

「……あのフレデリック様、お仕事はよろしいんですか?」

 怪我を負った後の数日間、私の意識は、熱と痛みで朦朧としていた。そんな薄ぼんやりとした意識下でも、私の脇には常にフレデリック様の優しい手と、囁きがあったのを覚えている。



< 202 / 284 >

この作品をシェア

pagetop