王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~



***


 エミリーが怪我を負い、一週間が過ぎた。

 足の裂傷は抜糸こそ済んだものの腫れが残り、いまだ微熱も続いていたが、八日目の今日はもうエミリーが熱にうなされて叫ぶ事はない。

 全身の打撲と擦過傷に関しては粗方治り、エミリーの症状は全体的に落ち着いてきていた。

 けれど体力の消耗は著しく、エミリーは一日のほとんどを眠って過ごす。
 今も静かな客間に、エミリーの寝息がスゥスゥと規則的に響いていた。

 当初の高熱で辛そうな様子を思えば、眼下で健やかな寝息を立てるエミリーの姿に、胸が安堵で満たされる。

 額にかかるエミリーの髪を、サラリと耳に掛ける。

「……エミリー、あとはもう良くなるばかりだ。よく、頑張った」

 答えぬエミリーに小さく呟き、名残惜しくも枕辺からそっと踵を返した。






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