王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 俺は今、この上もなく幸福なのだ。こうも一心に愛を捧げられる、その愛を乞い願う、そんな女性に出会えた事。これを幸福と言わず、なんと言うのか。

「……エミリー、どうか見ていてくれ」

 そうしてエミリーへの愛を自覚すると同時に、俺ははじめて国の為、国に生きる民の為、本気で行動したいと思っていた。そう決意させたのはエミリーで、そんな展望を与えてくれたエミリーに並び立つに相応しい男に、俺はここから変わる。

「明日の臨時会議を皮切りに、俺は俺なりのやり方で、やってみようと決めた。軍の改革はその為の第一歩。けれどゆくゆくは、その先の改革も目標にする。都市部はもちろんの事、ニーディー村をはじめとした地方の町村までが豊かに潤う、そんな政を目指して尽力しよう」

 答えぬエミリーに向かい、決意と共に小さく呟く。

 そうしてこの後は空が白みはじめるまで、安息の眠りに揺蕩うエミリーを飽きずに見つめていた。




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