王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
「そうか」
……あぁ、馬鹿!
いらないなんて恰好付けずに、ここは幾らか請求しても良かったんじゃない!? ポーカーフェイスを気取りながら、内心ではゴウゴウと後悔が渦を巻く。
けれど私が「いりません」と答えた瞬間、フレデリック様がそれはそれは優しい眼差しを向けるものだから、前言を撤回したいとは思わなかった。
その後、痴漢撃退スプレーの成分と作成手順を書き付けたメモを渡し、通り一辺倒の聞き取りを済ませ、フレデリック様一行は我が家を引き上げる。
「エミリー、アイリーンの事は心配ない。即時解放し、解放後も近辺の巡回強化を徹底させよう。それから、俺の早計で其方を強く追及してしまった事、本当にすまなかった。その上、大人数で押しかけてしまい、重ね重ね申し訳ない事をした」