王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 けれど私が何か言い募るよりも前、アイリーンが膨らませた頬をぺちゃんと萎ませて、柔らかな眼差しを向けるから、その美しいエメラルドから目が逸らせなくなった。

「ねぇエミリー、おひとりさまライフに気心の知れた友人は必須なの。その友人が同じ未婚なら、なお嬉しいってなものよ。でもエミリー、忘れないで? 私はたとえエミリーが既婚者になったって、ずっと親友って思っているわ」
「アイリーン! 私だって、ずっとアイリーンが親友なんだから」

「ふふふっ、エミリー。今回の一件、せいぜい高みの見物を決め込ませてもらうわよ。それじゃ私、そろそろ迎えの馬車が来るから行くわ! 美味しいお昼ご飯をごちそうさま!」
「うん! 気を付けてね!」

 こうして美貌の女神は、扱いに苦慮したフレデリック様のハンカチを手に、私の胸に柔らかな温もりを残して帰っていった。









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