クールな青山准教授の甘い恋愛マニュアル
以前の綾香なら抗議したかもしれないが、今は「先生……すみません」と謝って大人しく従う。
ソファに座らせてブランケットをかけてやると、バスルームからドライヤーを持って着て綾香の髪を乾かした。
「長くて綺麗な髪だな」
まるで絹糸のような光沢があって、柔らかい。
俺が褒めると、「たまに……切りたくなります」と彼女は苦笑いした。
その顔はグッタリしていて生気がない。
「これだけあると、切るのはもったいないな」
そうコメントすると、綾香が壁時計に目を向けながら「先生……今日は仕事は?」と聞いてきた。
時計の針はもう午前十時を回っている。
「ああ、午後から大学に行く」
「……午後から」
何気なく答えた俺の言葉に、彼女は暗い顔をする。
自分のせいでまだ家にいると思っているのだろう。
「ちゃんと仕事はしてるから、余計な心配はしなくていい。それより朝食だ。食べないと、体力戻らないぞ」
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