Chinese lantern
第二章
 りん、と表の本殿の鈴が鳴った。

「仕事か」

 この神社の本殿に、牢役人がお参りに来るのが仕事依頼の合図だ。
 ここは刑場に近いため、主な仕事は刑場になる。

 全国に蛇神の社は数多あるが、力の強い蛇神ほど刑場を受け持つ。
 蛇神は人の死を事前に察知できるので、事故死も病死も事前にわかるが、悪鬼はそうではない。

 ただ死罪は普通の民でも事前にわかるように、悪鬼もわかる。
 刑場で待っていれば、死体は出るのだ。
 そのため強力な悪鬼が出る。

 元々は小さな悪鬼が多数集まったりして、大きく強くなっていたりするわけだ。
 そうなると蛇神側もそいつらを蹴散らす強さが必要になる。
 今のところソラがその役目を負っているのだが、ソラと輝血が仕えている主様も、相当な力を持っていることになる。

 二人が奥の院で待っていると、本殿のほうから主様が現れた。

「此度はちと忙しいかものぅ」

 主様の手にあるほおずきの実は、いつもより大きく立派だ。

「大物なの?」

 海の向こうでは、身分の高い者や徳の高い者の魂は、物凄い強い鬼が奪い合うという。
 だがそのような者が打ち首になどならないのではないか。

 切腹であれば、こちらはきちんと連絡を貰えるが、悪鬼はそうそう嗅ぎ付けられないだろう。
 普通の魂送りよりも簡単なはずだ。
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