恋人未満のこじらせ愛
そして彼は手を離して寝返りをうち、仰向けになっている。

「オマケにお前はそいつの元彼女だしなぁー」

「……止めてくださいよ。過去の話です」

「でも俺と居ても……つまらねぇだろ。大した面白い話はできないし、寝ると起きないし」

また寝返りをうつと、大きな背中しか見えなくなる。

「だから…別に俺は満足だったんだよ。金曜の夜だけでも。
繰り返してズルズル引っ張って、逃げ道塞いで…既成事実作っていけば、いつかはホントになるだろって。
でもお前はいつも逃げるし、離れようとするしなぁ……」

自分的には『立場をわきまえた』行動のつもりだったけれど、そっか。そう思っていたのか。

「でも…ちゃんと言ってくださいよ。私は智也さんが何考えてるかわからなくて…」

「俺はもっとわからなかったし、フラれると立ち直る自信なかったし…だったら既成事実で押しきった方が確実だろ。
まぁ予想以上に……お前もバカじゃないし、引っ掛かからなくて焦ってきてたのはホント」

もう一度寝返りをうってこっちを向くと─手が伸びてくる。
肩に手を置くと、もう一度包み込むように抱き寄せらる。
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