三途の川のお茶屋さん
『ほほえみ茶屋』は私の独断で営業をしている。十夜は異を唱える事はないけれど、その代わり営業に関与もしない。
十夜に手伝いを申し出られたのは、お母さんを見送ったあの日を除けばこれが初めての事だった。
しかも十夜は私と同居している二十年の間で、皿一枚洗った事がなかった。
……そうか。十夜にも皿洗いは出来たのか。
とは言え、私は家事の一切を引き受ける事に全く不満はないから、十夜が皿洗いを出来ようが出来まいが、実はどちらでも構わない。
そもそも三途の川に来てからこっち、体が疲れるという感覚とはとんと縁なく過ごしている。
「あの、十夜? 今更だけど私が疲れないの、知っているでしょう?」
三途の川という場所は風邪も引かないし、体調不良という概念はない。
「体はそうだな。だが、労わられたり、思いやられたりすれば、心が軽くならないか?」