三途の川のお茶屋さん


それくらい、今日という日は忙しかった。

……忙しい最中、私の勘違いで懸人さんには本当に申し訳ない事をした。

一日の終わりには本気でそう、思えるようになっていた。

なにより「勘違い」、それが見送った男性の真実なのだ。

「後で懸人さんに謝らなくちゃ。私ってばほんと、何を焦ってたんだろう? だって悟志さんが来るのはあと、十年先って知ってるのに……」

苦笑と共に呟いて、私は大きく一息吐き出した。

「ともあれ、今日はよく働いた……」

先にも言ったように、ここ三途の川にあって身体的な疲労という概念はない。

けれど心は疲弊する。

一般的に大きな仕事をやり切った時は、疲労感とそれを上回る達成感がある。








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